断熱圧縮

[実験]
圧縮発火器(ナリカ製)でティッシュペーパーを燃やす。

[方法]
@ガラス管の中にティッシュペーパーを入れます。
Aピストンをはめます。
Bガラス管をアルミの筒に入れます。
Cピストンを一気に押し込みます。

[結果]
ティッシュペーパーが発火しました。

[考察]
理科年表には模造紙の発火点が450℃と書いてあります。
今回の実験では何℃になったかを計算してみました。

空気を2原子分子の理想気体とします。
空気圧縮を断熱変化とみなし、理想気体の状態方程式と
ポアッソンの法則を適用します。
       
pV=nRT, pV^γ=const., γ=Cp/Cv=7/5

空気の体積と温度を圧縮前はそれぞれV1,T1、圧縮後はそれぞれV2,T2とすると
上式を用いて次式が得られます。

T2=T1(V1/V2)^(γ-1)

25℃の空気が10分の1に圧縮されたとすれば、T1=298[K]を代入すると

T2=748[K]=475[℃]となります。

この温度は模造紙の発火点以上であり、ティッシュペーパーが
発火するのに十分な温度だといえます。

[文献]
(1) 国立天文台編、「理科年表」、丸善(1991)p.491
(2) 國友正和ら、「物理」、数研出版(2012)pp.103-118