*ジャガイモから抽出したカタラーゼに対する阻害剤の効果
 
[原理]過酸化水素に特異的に作用し水と酸素に分解する酵素であるカタラーゼは活性体としてFe2+を必要とするが、Cu2+はFe2+と競合し、カタラーゼの活性化を妨げる。
[実験方法]
@三角フラスコに合う穴の開いたゴム栓とゴム栓に合うゴム管を接続して気体補修装置を作る。水を満たした水槽中で、100mlのメスシリンダーに水を満たして逆さにし、その下にゴム管の他端を置く。
A室温で35%の過酸化水素水と水を1:9の割合で薄め、3.5%の過酸化水素を調製し、5mlを三角フラスコの中へ入れる。
Bカタラーゼ抽出物を3mlすばやく加える。
C三角フラスコに栓をし、ゆっくり降って混ぜ合わせ100mlメスシリンダーに気体を集める。
D20ml気体がたまるまでの時間を測定する。
※阻害剤を入れるときはAの時点で入れた。
○カタラーゼ抽出液はじゃがいも中1個の皮を剥き、芽を取り、すり下ろし器ですってさらし布でろ過し、25〜30mlの水を加えたものである。
○阻害剤の溶質は、硫酸銅・塩化コバルト・塩化ストロンチウムを用いた。阻害剤
 1.25〜1.3g に対し、水50mlを加えて溶液にし、10滴加えた。
[実験結果]                                     
1秒間に発生した酸素の平均体積(ml)は次の通りであった。数値は、溶液組成が過酸化水素とカタラーゼ、過酸化水素とカタラーゼと硫酸銅、過酸化水素とカタラーゼと塩化ストロンチウム、過酸化水素とカタラーゼと塩化コバルトの各場合のデータを順に並べたものである。
実験1回目:1.111,0.033,0.317,データなし
実験2回目:0.870,0.741,1.818,0.741
実験3回目:0.909,0.541,1.818,0.541
実験4回目:0.339,0.028,データなし,0.059
実験5回目:0.303,0.000,0.115,0.067
 
気温は10℃〜15℃、気温は10℃前後の時に実験した。
 
[考察]
 
○カタラーゼが存在すると過酸化水素が分解して酸素が発生しやすくなるということがわかった。
○しかし、硫酸銅、塩化ストロンチウム、塩化コバルトを混ぜた場合、酸素の発生量が 減少した。
○このことから、銅イオン、ストロンチウムイオン、コバルトイオンは、カタラーゼあるいは補酵素の働きを妨げる物質であると考えられる。
 
《1999年度発表の記録》
 
*浦和東高校東雲祭(10月)
*埼玉県科学教育振興南部地区展覧会(10月)
*埼玉県科学教育振興中央展覧会(10月)
*日本学生科学賞埼玉地区展覧会(10月)
*埼玉県理科教育研究発表会(2月)
 
〈研究内容の要旨や実験結果のデータなどはご連絡いただければ差し上げます〉
 
水平カラムで発生したリング状の化学進行波
 
ヨウ素デンプン反応の進行でレーザー光の吸収が突然起きる様子