巨大シャボン玉の作り方

はじめに・・・。

水には「凝集能力」があります。従って水だけであると泡が立ってもすぐに凝集して泡は壊れてしまいます。

しかし、界面活性剤を入れることにより、その凝集能力を落として薄い膜を作れるようになります。さらに、界面活性剤を吸着した膜で保護されるので、壊れにくくなっています。これがシャボン玉の出来る原理!!です。

【実験】巨大シャボン玉をつくります。

[準備]水道水、洗剤(LIONチャーミークイック)、ガムシロップ、かたくり粉、グリセリン、炭酸飲料(コカコーラ)、紅茶ティーバッグ

[方法]

1.シャボン液をつくります。

(1)40℃のお湯500mLに次のものを入れます。

@LIONチャミークイック80mL

Aガムシロップ15mL

Bかたくり粉小さじ1杯(5mL

C紅茶ティーバッグ

(2)(1)の溶液に次のものを入れます。

@グリセリン20mL

A炭酸飲料(コカコーラ)40mL

(3)(2)の溶液をよくかき混ぜたのち1時間以上放置します。(実際には一日放置しました)

2.凧糸を巻き付けた太い針金の輪をつくります。

3.2でつくった輪に1の(3)の溶液を含ませ、輪を動かしてシャボン玉を作ります。

[結果]            

図1は屋上でやったもので、透明で綺麗でした。

図2は化学室でやったもので色は虹色で下から人が扇いだのでシャボン玉が少し揺らいでいます。

図3は色が図2と似ていますが、オレンジっぽい色も見えました。形は人の顔1個分の大きさぐらいでした。

図4は図2、3より色があまり見えなく透明に少し色がかかったような感じでした。それで下から扇いでないのにすごく揺らいでいました。

図5は屋上でやったもので今までよりは少し小さかったです。ここではシャボン玉の影が下に楕円形に映し出されていました。

図6は出来たばっかりなのか、かなり大きく歪んでいました。

図7は壁に映った影の形が図5より丸いので、シャボン玉は壁からより離れた位置にあると考えられる。

図8はシャボン玉が作られる瞬間が映っています。

[考察]

ガムシロップ、かたくり粉、グリセリン、炭酸飲料(コカコーラ)を混ぜることで洗剤膜の伸びがよくなり、薄膜球状になりやすくなると考えられます。紅茶はシャボン玉の7色をきれいにしてくれるようです。

シャボン玉は「水」と「界面活性剤」から出来ています。石鹸や洗剤のような洗浄作用・起泡作用を持つ化合物を「界面活性剤」といいます。

「界面活性剤」は、水にも油にも溶けるので、分子骨格中に油に近い骨格と水に近い骨格を持ちます。この「界面活性剤」が加わることで「膜」を作れるようになります。私たちが実験に使用したLIONの「チャーミークイック」に含まれている「界面活性剤」はアルファオレフィン&スルホン酸ナトリウム&アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム&脂肪酸アルカノールアミド&アルキルアミンオキシドです。

シャボン液の粘性を増して膜を割れにくくするために加えられる「増粘剤」は、その分子中に「−OH」(ヒドロキシル基)という構造を持ちます。これは水分子を捕まえる性質があり、シャボン液から水分が蒸発するのを防ぐ効果もあります。例えばグリセリンは図9のような構造をしていてヒドロキシル基を3個持っています。分子量が大きく水の中で分子が動きにくくなるため、液の粘性が増すことになります。実験で混合したガムシロップ&片栗粉&グリセリンが増粘剤として働いたため、大きなシャボン玉が形成されたと考えられます。ガムシロップに含まれている糖類(図10)や片栗粉のようなデンプン(図11)は多数のヒドロキシル基を持っているのでグリセリンと同様に液の粘性を増し、水の蒸発を減少させていると思われます。

太陽やライトの光は透明に見えますが、実際には無数の色(波長の違う光)を含んでおり、何らかの作用でこの光が分解されたとき(波長の長い、短いに分解されたとき)に鮮やかな七色に見えるのです。(波長の違いが私達には色の違いとして見えるのです。)シャボン玉の場合も、シャボン玉の膜によって光が反射・屈折され、結果として七色に分けているのです。

今回混合した紅茶はシャボン玉の七色をより美しく引き出す効果をもたらしたと考えられます。

シャボン玉が割れる理由!?

シャボン玉が割れてしまう主な理由は次の3つが考えられます。

@ ホコリやチリなどがシャボン玉の膜にぶつかって割れる

A  水分が蒸発して割れる

B  重力によってシャボン玉の上部が薄くなって割れる。シャボン玉の膜を作っている液体(シャボン液)は、重力の影響で玉の頂点から底の方に流れ落ちてゆきます。そのため時間とともに玉の頂点付近の膜の厚さは薄くなってしまい最後には穴が開いてしまいます。また、空気中の小さなホコリやチリの衝突、シャボン液の水分の蒸発などの要因によっても、膜のどこかに穴が開いてしまいます。こうして膜の一部に穴の開いてしまったシャボン玉は割れて水滴になってしまいます。私たちの作ったシャボン玉でも、下部に溶液が溜まって上部に比べて膜が厚くなっているとともに最下部から液がたれていました。

《シャボン玉の色について調べたら、面白いことが分かったので紹介します》

色のついたシャボン玉!! 七色に輝くシャボン玉は、まさに自然が作り出す芸術品です。このシャボン玉に人工的に色を着けることができないかと実験を始めました。シャボン玉液に赤インクを入れて作ってみたところ、できたシャボン玉はまったく赤くなりません。これはシャボン玉の膜があまりに薄いためなのです。そういえば、色のついた石鹸からでる泡はやはり白ですね。ところがシャボン玉は割れると大変です。割れたときに、インクの赤いしぶきが飛び散るのです。お風呂場で実験していて、壁を真っ赤に染めてしまい大失敗でした。

七色の謎 シャボン玉の色は、シャボン膜の厚さと深い関係があります。シャボンの膜は、肉眼で見えるもの中で一番薄い物といってよいものでしょう。1μm(1000分の1ミリ)以下ということですが、この薄い膜は光の波長に近い厚さなのです。シャボン玉に光線があたると、光の一部はシャボン膜の表面で反射し、他は裏側で反射します。この二つの反射光の波長が干渉し合って山と山、谷と谷が一致したとき、鮮やかな色となります。反対に同じ波長の光でも、膜の厚さが異なると、二つの反射光はお互いに打ち消し合って、色が見えなくなるのです。

このように光の波長が干渉によって強まるか、あるいは打ち消しあうかで、シャボン玉の色は変化するというわけです。

太陽の効果!! 太陽がさんさんと降りそそぐ晴天の日は、シャボン玉の水分がどんどん蒸発して膜が薄くなるので、刻々と変化する色を楽しめます。濃い青の空を背景に、太陽の光に照らされるシャボン玉はとても美しいのですが、それだけに早く割れてしまいます。逆に雨上がりや、曇りの日には水分の蒸発も少なく長持ちするのですが、色彩の変化を楽しむことはできません。室内で実験する場合には、スポットライトを当ててみると、太陽に似た効果があります。雪の日に積もった雪の上にシャボン玉をいくつも落としてみると、シャボン玉の透き通った大変美しい色を観察することができます。