溶解度
【疑問】同じイオン結晶なのに水に溶けやすい物質(例:塩化ナトリウムNaCl)と溶けにくい物質(例:塩化銀AgCl)があるのか。
【考え方】溶解度の大小を理解する基本は次のふたつである。
@結晶の要素がどれだけ強く結びついているか。
A結晶の要素が水中にある(水和している)ときどれだけ安定化しているか。
塩化ナトリウムNaClと塩化銀AgCl のエネルギー状態を模式的に表すと次のようになる。
[NaClの場合] [AgClの場合]
バラバラのAg+とCl−
バラバラのNa+とCl−
水和したAg+とCl−
結晶NaCl 結晶AgCl
水和したNa+とCl−
塩化ナトリウムNaClも塩化銀AgClも各イオンが水和しているとき十分安定化している。
しかし、結晶状態からバラバラのイオンにするにはAgClの方が大きいエネルギーを必要とする。つまり、NaClに比べて結晶状態のAgClの方がイオン間の結合が強い。
塩化ナトリウムNaClと塩化銀AgClでは、イオン間の結合力の寄与が大きく、水に対する溶解度に差が生じる。
【新たな疑問】NaClもAgClも結晶は一価の陽イオンと陰イオンから出来ているのに結合の強さに差があるのは何故か。
【考え方】次の3点から検討する。
(1)イオン半径
(2)結晶構造
(3)電子配置
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