スライムアート
 
【目的】二物質が混合して新たな物質ができるという「化学変化」を遊び心で体感する。
【原理】PVAが糸状の高分子であり、ホウ砂により架橋され網目構造に変わる。
【キーワード】高分子、水素結合、架橋構造、ゲル化
【透明スライムをつくる】
[手順](1)PVA洗濯のりをコップに6分の1ほど取り、同じ量のお湯を加える。
   (2)ホウ砂の飽和水溶液を少しずつ加えながら、わりばしで激しくかき混ぜる。指で触ってべとつかなくなったらできあがり。
[色つきスライムと真っ黒スライム]
 のりに適当量の水彩絵の具を加え、透明スライムと同じ方法で、いろいろな色のスライムをつくる。また、のりに四酸化三鉄を粉末(または砂鉄を乳鉢ですりつぶしたもの)を加えてつくると、強力磁石に向かって角をだしたり、強力磁石を呑み込む、真っ黒いスライムができる。
[できたスライムを使って]
 スライムをコップから取り出し、伸ばしたり、ちぎったり、くっつけたりしてみる。ゆっくり引っ張ると伸びて、強く引くと切れる。重ねるとまたくっつくのがスライムの特徴である。
 また、この手づくりスライムを使って、いろいろな遊ぶ。(色つきスライムを重ね合わせてマーブリング、水性インクで描いた絵を写し取る、スライムをストローで吹いてシャボン玉のように膨らませる、など)。
ポイント・のりに対するお湯の量によってスライムの硬さを調節できる。また、絵の具や四酸化三鉄そのほかの顔料を多量に加えると、硬くなる。
●のり:お湯:ホウ砂の飽和水溶液=5:5:1程度がよく、ホウ砂を加えすぎるとよくない。
●水ではなくお湯を加えるのは、短時間に性能のよいスライムをつくるため(ホウ酸のイオンの拡散を速める)。のり自体も温めておくとよい。冷水でのりを希釈しても、時間をかけてこねればよい。水性インクや食用色素を用いると透明感のある色つきスライムとなるが、これらの水溶性色素による着色は、スライムをつくった後からでも可能である。
●砂鉄をすりつぶさずにスライムに加え、よくもんで全体に広げても、強く磁石に反応する。しかし、砂鉄は時間がたつとスライムの中で沈むので、使うたびによくもむこと。また、砂鉄を用いると、スライムの中でさびてスライム全体が褐色になる。
●実験前に、よく手を洗わないと手にべとつく。スライムには酸や塩分は禁物である。
 
【後始末】
 残ったスライムは、そのままひからびさせるか、食塩を加え縮めて、プラスチックゴミとして捨てる。また、酸で洗えば溶ける。
 実験後も必ず手を洗うこと。
原理・PVA(ポリビニルアルコール)の約8%水溶液が洗濯のりとして市販されているが、のりに約2倍量のエタノールを加えると、成分のPVAを取り出すことができる。ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム、Na2B4O7・10H2O)は、薬局で購入できるが、水には約5g溶ける。水溶液中では、で表されるイオンが生じ、これがPVAのーOHと水素結合するので、PVDが架橋され、ゲル化する。水や水性インクはこの網目を通り抜けることができ、絵の具や四酸化三鉄はできない。なお、酸を加えるとは、H3BO3(ホウ酸分子)になってしまい、架橋の役目を果たせないので、スライムは食酢などに溶ける。また、食塩をかけると、ナメクジと同様にスライムは水を奪われ縮む。
 
【私たちの遊び(実験)の結果を見て下さい】
鉄粉を混ぜた真っ黒スライム。ネオジウム磁石に向かってじわじわと動いていく様子はまるで生き物のようです。「特報王国」に登場したあの「謎の生命体」です。
 
 
 
 
 
 
 
カニではありません。紙に貼り付け乾燥させたスライムです。