ザルで水をすくう話

はじめに

笊で水を掬うことはできません。茶漉しでも水を掬うことはできません。
ところが茶漉しで水を持ち上げることができたのです。
水中に茶漉しを沈めます。湾曲した凸面を鉛直上向きにして、茶漉しの円形口を水平に保ちつつゆっくりと持ち上げます。
すると茶漉しの内部に溜まった水は茶漉しと一緒に持ち上がってくるのです。
この現象を茶漉しや篩を使って調べてみました


実験1 茶漉しで水を持ち上げる

方法 
 @水中に茶漉しを沈める。
 A湾曲した凸面を鉛直上向きにして、茶漉しの円形口を水平に保ちつつゆっくりと持ち上げる。
結果 
 茶漉しの口が水面すれすれまで上がっても茶漉しの内部に溜まった水は茶漉しから落ちることなく、茶漉しと一緒に持ち上がった。


実験2 茶漉しで洗剤溶液を持ち上げる

方法 
@水に洗剤(チャーミー)を混ぜる(水1Lに洗剤0.005Lの割合)。
A湾曲した凸面を鉛直上向きにして、茶漉しの円形口を水平に保ちつつゆっくりと持ち上げる。
結果 
 茶漉しの内部に溜まった水は、初めのうちは茶漉しから落ちることなく茶漉しと一緒に持ち上がっていったが、茶漉しの口が水面すれすれまで上がる前に落ちた。

実験3 篩から水および洗剤溶液が流出する時間を調べる

方法 
@円筒形の地学用篩(ステンレス製、内径53mm、深さ35mm)を水または洗剤溶液で満たす。
A水または洗剤溶液が篩から全部流出するまでの時間を測定する。

結果

穴の大きさ
特大
特小
穴の数()
56
133
158
229
254
穴の直径(mm)
4
2
1
0.5
0.25
穴間距離(mm)
25
13
24
15
1.53
水が流出する
時間()
0.18
0.62
2
41
938
洗剤溶液が流出する時間()
0.24
0.49
2
11
35


実験4 篩で水および洗剤溶液を持ち上げる

方法
@水中に篩を沈める。
A底面を鉛直上向きにして(逆立ちにして)、篩の口を水平に保ちつつゆっくりと持ち上げる。
B水に洗剤(チャーミー)を混ぜる(水1Lに洗剤0.005Lの割合)。
C篩の底面を鉛直上向きにして(逆立ちにして)篩の口を水平に保ちつつゆっくりと持ち上げる。

結果

穴の大きさ
特大
特小
穴の数()
56
133
158
229
254
穴の直径(mm)
4
2
1
0.5
0.25
穴間距離(mm)
25
13
24
15
1.53
逆立ちで
水がたまる
×
×
逆立ちで
水+洗剤がたまる
×
×
×


考察
 
最も小さい篩の穴0.25mmは水分子や空気分子(窒素分子や酸素分子)の大きさの106倍もあるので、水が落ちない現象や水が漏れるのに時間がかかる現象は水の集団としての力(表面張力)が関係していると思われる。